作家、藤崎彩織さん

4人組バンド「SEKAI NO OWARI」では、Saoriとして、ピアノ演奏とライブ演出、作詞、作曲などを担当。そして、藤崎彩織としては文筆活動でも注目を集め、2017年に発売された初小説『ふたご』は直木賞の候補となるなど、大きな話題となりました。

そして、最新作『ねじねじ録』が8月3日、水鈴社より発売されました。

ナビゲーター 長谷川 ミラさん

1997年7月7日生まれ、南アフリカとのハーフでロンドンの美大(セントラル・セント・マーチンズ)に在籍する現役大学生!(現在休学中) 2017年より自身のブランド「JAMESIE」を立ち上げ若者に大人気。自身のライフスタイルを発信するYoutubeチャンネルも話題。

ナビゲーター 長谷川 ミラさん

ーおめでとうございます!私も読ませていただいたんですけども、なんでしょう、初めましてなんですが、最初のページでもう彩織のことが愛おしくなってしまうような、等身大の様子が伺える一冊だったなと思うんですけども。

ゲスト 彩織さん(以下、彩織) ありがとうございます!

ーこの後たっぷりと最新作『ねじねじ録』のお話、そしてくつろぎ時間のお話など伺って行きたいと思います。藤崎さん、よろしくお願いいします!

彩織 よろしくお願いします。

ー最新作『ねじねじ録』こちらにもあるのですが、音楽家としてそして母として、妻として悩み、落ち込みながらも何かと前へ進もうとする彩織さんの、日々の思いであったり、風景を本音で丁寧に綴ったエッセイ集となっているんですけども、まずタイトルの「ねじねじ」というワードがとっても印象的なんですが、これはどういった思いがあるんですか?

彩織 これはSEKAI NO OWARIのバンドメンバーの、ボーカルのFukase君から、彩織ちゃんっていつもねじねじ悩んでるよね、って会話してる時にふと言われて。ねじねじ、新しい面白い響きだなと思ったんですけど。うじうじだと暗過ぎる感じがするし、ねちねちだとちょっと嫌な奴な感じがするし、ねじねじだと考えつつも、一生懸命やってるけどから回っちゃうっていう、なんか愛らしさもあっていいなと思って。もうその時にすかさず、結構何年も前なんですけど、メモして、どうせ本人は忘れてると思うんで、いつか自分で使おうと思って、温めてた言葉です。

ー今回本を出されて、Fukaseさんはねじねじという言葉は覚えていらっしゃいましたか?

彩織 覚えてたみたいで。これ、あれ?とか言いながら、顔の前でお金のマークをこう。笑
ジェスチャーしてましたね。

ー笑 普段からFukaseさんはそういった新しい言葉だったりとか、言われる方なんですか?

彩織 そうですね。普通に会話してて、新しい言葉作ったりとか、あとすごく変な比喩をしたりするので。

ー例えばどんな比喩をするんですか?

彩織 例えば目標を立てないまま、どうしようこうしようみたいな事を皆で話し合ってると、「俺だって目隠ししたままそんな何メートルも歩けないんだよ!』って急に言ったりして。え?みたいな。目標を立てようよって意味なんですけど、それを目隠ししたまま俺だって歩けないよって言うんだみたいな。会話しながらパッと、いつもそういうことが出てくるので、すごい面白いこと言うなといつも思いますね。

ーそれをすかさず彩織さんはメモを取られて。

彩織 はい。本人はそれを特に作品にしようとかないので、全部私がもらっていこうと思います。笑

ーそうなんですね! エッセイの元となったのは、スマホのメモに書き綴っていた日記で、連載していたものが今回書籍化されたと伺いました。日記をエッセイとして連載しようと思ったきっかけはなんだったんですか?

彩織 中学生からずっと日記をつけていたのですが、というのは、やっぱり自分のことが一番よくわからないなと思って、毎日感じたことを日記に書いていて、またそれ見返してみると、思ったより自分って自分のこと知らないんだなぁと思って。怒ってたりとか、悲しんでたりすると結構過剰に感情が溢れてしまっている自分とかを発見したりしていたので。そういうメモをずっと書いてきた中で、エッセイになりそうなものピックアップして、今回は書いたって感じですね。

ー自分のことをあまり知らないなとか、そういった感覚をすでに持たれた中学生だったんですね。

彩織 そうですね、中学生の時はとにかく自分の性格がすごい悪いんじゃないかと思っていて。その自分の性格を良くするにはどうしたらいいんだろうみたいなことを。怒ってる時はこういうことを考えてるけど、なんかそれってちょっと変かもなとか、後で俯瞰して考えてみるみたいな。

ーご自身の中で、誰かに言われたわけではなく、性格悪いと思われたんですか?

彩織 そうですね。まぁあの十代の頃っていろんなこと悩むと思うんですけど、それを冷静な目で見るのがすごく難しかったので。怒ってることは怒ってない時に考えた方がいいんじゃないかと、その時に思ったんですよね。

ーそこから日記をエッセイとして連載されて、書くことがやはり今でも日常なんですか?

彩織 そうですね、未だにしょっちゅう日記は、今もスマホにずっと書いてますけど。自分の感じたことを常に書いてるんですけど、本当に同じ事ばっかり書いてるなっていうことに最近は気づきましたね。

ー同じことですか。例えばどんな?

彩織 やっぱり悩んでるその自分の性格の中の悩みも、もう中学生の時からずっと同じようなことをずっと書いていて、どうして私はこうなんだ、こうしようって言うんですけど、できないみたいな。

ーなんとなく仰ってることわかります。悩みとか自分の性格って、ずっとその年齢の時から変えたいと思ってても、なかなか難しいですよね。

彩織 そう。日記を通して全然変わってないってことが段々わかってくるんで。笑

ーご自身で振り返られて、読み返してみて、変わってないなーって感じられたんですね。変わらないけども、また改めてこう書かれてみて、どうでしたか、何か心境に変化とかありましたか?

彩織 やっぱりその自分だけの日記で書いてる文章と、人に伝えるっていう文章って全然違うので。人に伝える時は、より丁寧に誰にでも伝わるように言葉を選ばなきゃいけないので、自分に近い言葉はどれかなどれかなって丁寧に探していく作業があったので、より自分に近い言葉で書けたかなと思います。

ー今回エッセイの中では、子育てのお話、また解散の危機、ご夫婦のお話など書かれてますけども、収録されている41のエッセイを通して、伝えたいこと、メッセージっていうのはあったんですか?今仰っていた言葉選びとかもあると思うんですけども。

彩織 そうですね、このエッセイはいろんな立場から書いていて、例えば母であったり、娘であったり、あとは妻であったり、バンドメンバーピアニストとして、それから文章を書く者として。すごくいろんな立場からの文章を綴っていて、私は1人なんですけど、いろんな人格があって、その一個の立場から他の立場を見たりすると、また全然違う見え方がするので、本当にいろんな立場から書いたので、皆さんにどれかは共感して頂いて、どれかはこんな考え方の人あるんだっていう風に思っていただけたらなぁと思ってます。

ー本の中で、今仰ってたようないろんな目線っていうのが感じられたのが、6歳の時に1人で新幹線に乗られて、大冒険の気分だったけども、実はお母さんとかおばあちゃんからしたら、その親の目線からした方が大冒険だったのかもしれないみたいな。視点がくるっと変わった文章があって、そうだなあと。子供の時は大冒険!って感じだけど、親の目線からしたら6歳の子を送り出すのも大冒険ですよね。

彩織 絶対そうですよね。

ーその視点の切り替わりとかがすごく印象的なエッセイだったなと思うんですけども、赤裸々に書いちゃったなーとインタビューで仰ってましたが、また日記ですからね。かなり赤裸々に書いたんですか?

彩織 やっぱり自分の書きたい事って結構良いことが多いんですね。自分はこんなに頑張って、こんなにこう、素敵な人たちがいっぱいだっていうのを書きたくもなるんですけど、私自身人のエッセイで読みたいものってそういうものじゃなくて、やっぱり悩んだりとか、本人が書きたくないって思ってるようなことを、さらけ出してもらった時に初めて一対一でその文章と向き合えるなと思うので、なるべく書きたくないことを書こうと思いました。

ー例えば性教育のお話だったりとか、性犯罪の話だったりとか、IUSという子宮の中に装着する避妊器具のことなんですけども、こういった女性として共感できるエッセイもたくさん入っていたと思うんですけども。やはり仰ってたようにさらけ出して、また共感というのがすごくあったのですが、この性のことについてだったり、反応はいかがですか?

彩織 単純に知らなかったから、知れてよかったですという風に言っていただいた方もすごくたくさんいて、中には、子宮の中に入れるこの避妊器具を知ったことで、今までの症状が改善されました。トライしてみました。っていう人たちも単純にいたりして、何かこう、私が発信することで知ってくれた人がいたのはよかったなあと思います。

ー大きな影響力がある彩織さんなので、こういったIUSのことであったり、ご自身の経験からお話しされた性教育とか、日本の教育の遅れであったりとかっていうのは、スッと入ってくるものばかりで。私も日々、社会問題についてちょこちょこ発信してるですが、大変勉強になる、スッと入って来やすい文章だったなと思うんですけども。

彩織 それは良かったです。ありがとうございます。

ーそういったところもまた、意識されてたのでしょうか。

彩織 そうですね。やっぱりどこかに無知なところがあると、そこばっかりにご注目されちゃって、本当に伝えたいことが伝わらなくなっちゃったりするので、すごくいろんなことを調べて、いろんな人に意見を聞いて、この原稿を書いてきたなと思うんですけど。女性はまだ同じ立場だからいいんですけど、男性に、じゃあ男性はどうしたら良かったんだ、男性はどう思うんだっていうところまで考えるのはやっぱりすごく難しいなと、今回やってみて思いましたね。

ーまた改めてどうですか、メンバーの皆さんからの感想は、それこそ男性メンバーの感想はいかがでしたか?

彩織 メンバーとはこのフェミニズムの問題だったり、性教育の問題だったり、環境問題とか全てですけど、本当にしょっちゅう話していて、私こういうこと書こうと思うんだよ、こう思うんだよ、こうしたらいいと思うんだよっていうのも、本当に会ってる間は、車の運転している間とかみんなで話してて、時々本気で喧嘩したりしてますね。

ー素敵な関係ですね。ディスカッションできる仲間がいて羨ましいなと思った限りですが、ー曲送りした後も、引き続き、藤崎彩織さんにお話を伺いたいと思います。