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乗るほどにシトロエンの魔法は深まる 〜4年5万キロを共にしたシトロエンC5エアクロスのオーナーに聞く

自動車メディアの営業部員らしく、お洒落系クルマ好きなマシコさん。そんな彼の愛車はシトロエンC5エアクロスSUVだ。すでに45万キロをC5エアクロスと共に過ごしたマシコさんは、今やすっかりその乗り心地に惚れ込んでいる。見た目やブランドイメージに惹かれた買ったシトロエンは、乗るほどに熟成が進み、乗る人を虜にする魔法のクルマだったのだ。

時代の波に乗る男は家族のためにC5エアクロスを選んだ

自動車メディアの営業部に勤めるマシコさん(左)とシトロエン2CVを新車から30数年乗り続けている自動車メディア編集者のマユミ(右)。同じシトロエン乗りながら、お洒落なクルマ好きとマニアックなクルマ好き、その立ち位置は対照的。

馬弓:マシコさんのC5エアクロスは買ってからもう4年経つのですね。

益子:20204月に我が家にやってきて5万キロ乗りました。中古車だったのでオドメーターは6万キロを超えています。

馬弓:C5エアクロスの前に乗っていたのはドイツ車でしたよね?

益子:そうです。子供が生まれたばかりの時に買ったアウディA4アバントクワトロに乗っていました。子供をスキーに連れていきたいと思って買ったクルマです。さらにその前はアルファ ロメオのアルファ156セダンでした。

馬弓:アルファからアウディ、まさに時代の波に乗っていましたね。それにしてもマシコさんはヨンクが必要なほど熱心なスキーヤーでしたっけ?

益子:自分はやらないです。ほら、小さな子供と一緒にスキーって、かっこいいイメージがあって憧れるじゃないですか。千葉に住んでいるのでマリンスポーツが身近ですが、子供には世界を広げてほしいなぁ、なんて思ったのでしょうね。結局、スキーには一度も行かなかったのですが(笑)

馬弓:イメージ先行でクルマを買うのは、さすがお洒落なクルマ好きです。イタリア車、ドイツ車でも、マニアックな方向ではない愛車をチョイスするのがマシコさんらしい。C5エアクロスを選んだのもわかる気がします。

益子:真面目な理由を先に話すと、近所に住んでいる高齢の両親を乗せる機会が増え、車高が多少高くて乗り込みがしやすい車を探していたんです。

馬弓:確かにSUVの隠れた長所ですよね、乗り込みのしやすさは。

益子:それから2人に増えた子供を連れて家族4人で旅行することもあるだろうと。スキーは行かないかもしれないけれど(笑)。SUVなら遠出した時に何かと便利そうだと思ったのも理由です。

馬弓:5万キロも走っているし、この4年であちこち旅行に出かけたのですね。

益子:それが、買ったと同時にコロナがやってきたので……。

馬弓:あ、そのタイミングか。でも、それにしては距離が伸びている気が。

益子:上の子がテニス、下の子が陸上の部活を真剣にやるようになりまして、その試合会場が関東一円だったので送り迎えで距離が伸びました。コロナじゃなくても結局、家族旅行には行けなかったと思います(苦笑)。

履き心地の良いスニーカーのようなカジュアル感

馬弓:マシコさんは大事なことをまだ話していません。SUVを探していたのは分かりましたが、なぜC5エアクロスだったのですか?

益子:自動車メディアの営業という自分の仕事柄、どの車を選ぶのかは非常に難しいんです。仕事で会う人たちはクルマに一家言ある方が多いじゃないですか。「マシコくんは何に乗っているの?」と聞かれて「〇〇です」「ふ〜ん」で終わったら営業になりません。その点、C5エアクロスだと「ほう、PHCはハイドロみたいな乗り味なの?」などと会話が弾みます。自分はマユミさんみたいなマニアじゃないけど、適度にクルマ好きな感じは醸し出したいんです。

馬弓:適度じゃないクルマ好きですみません(笑)。確かにクルマにうるさい方々もシトロエンのPHCは気になっているようです。なにしろ伝説のハイドロニューマチックの現代的解釈ですから。

益子:仕事方面だけでなく、ご近所さんにも「ご主人のクルマ、なんてクルマですか?」って訊かれて、「フランス車でね、旦那はなんだかこだわっている感じなのよ……」ってくらいの匂わせ具合がいいじゃないですか。

馬弓:ちょっとこだわっていると言われたい、それですね、本音は(笑)。

益子:まあ、そのスタンスであることは否定しません(笑)。シトロエンというブランドはクルマに詳しい人に押さえが効いて、一般の人からはちょうどいい距離感があります。でも、それを抜きにしてもC5エアクロスの、履き心地の良いスニーカーのようなカジュアル感、デザインはとても気に入っています。

馬弓:なるほど、確かにC4カクタスから始まった新世代シトロエンのデザインは控えめに言っても斬新でしたよね。フロントの2段重ねのライトとサイドのエアバンプが象徴的で、全体としてカジュアルな遊び心を感じさせます。C3やベルランゴ、そしてC5エアクロスは新しいユーザーをたくさんシトロエンに連れてきました。一方で、過去からの引用ではないデザイン言語にもかかわらず、熱心なシトロエンファンにも意外や好評なんです。過去から一貫した「クラスレス」なところに共鳴しているのかもしれません。

益子:クルマをあまり変えたくないので、古びない、見飽きないデザインであることは重視しています。仕事柄、嫌味にならないクルマが大前提ですが、でもクルマを楽しみたい気持ちもあって、走りとデザインに何か特徴のあるクルマであることがマストでした。

馬弓:PHCとエアバンプで決まりだったのですね。

乗れば乗るほどに熟成が進む魔法の絨毯

馬弓:ご家族からの評価はいかがですか?

益子:奥さんはミニバンよりもSUVが好きみたいで、その中でもC5エアクロスはデザインに威圧感が少ないことで高評価です。もちろん、ディーゼルの圧倒的な燃費の良さも彼女のお気に入りポイントなのは言うまでもありません(笑)。

馬弓:ハイオクから軽油はそれだけでコスト3割減です。

益子:ディーゼルはうるさいかなと思っていたのですが、実際は拍子抜けするほど静かでした。加速も小気味よいです。

馬弓:あのディーゼルエンジンとアイシン製8ATの組み合わせは最強ですね。EGRや過給の問題でクリーンディーゼルが苦手とする極低回転域を巧みに避けた変速プログラムはお見事です。あ、マニア系な話ですみません。

益子:子供たちはどうだろうな。部活の送り迎えなどでC5エアクロスに乗るとすぐに寝てしまうんですよ。体を動かして疲れているとはいえ、間違いなくPHCの乗り心地のおかげでしょう。子供の寝顔を見ていると乗り心地のよいクルマを買って良かったとつくづく思います。

馬弓:先ほど益子さんのC5エアクロスを少し運転させてもらいましたが、新車の時よりも乗り心地がしっとりしていると感じました。5年前の試乗会で乗った時はもう少し足の動きが速かった記憶があります。

益子:自分も新車のC5エアクロスには乗りました。当時は凹凸のある道で「しっかり当たりを感じつつも粘りのような柔らかい返り方」という印象でした。それが我が家にやって来た1万キロ、コロナ禍で部活の送り迎えに励んでいた3万キロ、そして現在の5万キロと乗るにつれ、良い意味でアバウトな感じになっていると思います。「粘り」から「鷹揚」さへと変わってきたというべきか。

馬弓:なんか言っていることがマニア系です。

益子:乗れば乗るほど体に馴染んでくるというか、良い感じに熟成が進んでいくというか。PHCは揺れないわけでは決してないし、揺れ戻しもあるけど、その「どんぶらこ」に慣れると実に居心地がいいです。荒れた路面を見ると、あえてそこを通り、どのように吸収してくれるだろうという楽しみもあったりします。揺れた方が気持ちいいんですよね。

馬弓:揺れた方が気持ちいい、それはシトロエンの魅力に取り憑かれた人がよく口走っていますが、お洒落系クルマ好きであればあまり周囲に言いふらさない方がいいと思います(笑)。

益子:それが、僕だけじゃないんです。先日、家族旅行で沖縄に行った時にレンタカーを借りました。国産車のそれなりに大きさのある車種だったのですが、特に後席に乗った家族が「乗り心地が悪い」「腰が痛くなった」と言い出しまして。

馬弓:魔法の絨毯は乗る人にも魔法を掛けるのですかね。シトロエンの魔法はもはやマシコ家に深く浸透しているようです。このままだと僕みたいに30数年シトロエンに乗り続ける、適度じゃないクルマ好きになりますよ(笑)。

益子:30年とは言いませんが、長く愛せるクルマだと思います。

文:馬弓 良輔  Yoshisuke MAYUMI
写真:阿部 昌也 Masaya ABE

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