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「シトロエンってどこの国のクルマ…?」そんな女性にこそ知ってもらいたい、シトロエンの「心地よさ」

「シトロエンってどこの国のクルマ…?」そんな女性にこそ知ってもらいたい、シトロエンの「心地よさ」

シトロエンといえば真っ先に思い浮かぶキーワードは「コンフォート」。乗り心地の快適性は他に類を見ない。デザインだってオシャレで素敵だ。しかし、ふと思ったことがある。自動車メディアに20年以上身を置く私はシトロエンについての知識はそれなりに持っている(つもりだ)。昨年はシトロエン100周年を記念した本も編集しているし、「魔法の絨毯」「ハイドロ」という言葉も知っているし、ブランドロゴの由来だって説明できる。でも、フランスでは大衆車として一般的なこのブランドがもつ魅力は、日本の「一般的な」人、特に女性たちにはどのぐらい浸透しているのだろう?と。

「一般的な」女性の意見を聞いてみるべく、私(属性:40代女性、夫と中学生の息子+大型犬の3人&1頭暮らし)のまわりの「車にあまり詳しくないママ友」たち25名ほどに簡単なアンケートをお願いした。その結果、彼女たちの「シトロエンのイメージは?」という質問への回答は以下のようなものだった。

「おしゃれ」「デザインがいい」「いつかは乗ってみたい!と思えるハイセンスな憧れの車」「個性派」ふむふむ。「輸入車のなかでは庶民的なイメージ」「堅実なイメージ」なるほど。「エンジンかけると(?)フワッと浮く車!だったよね?」そうそう。「フランスのよく壊れる車?」「なんだかわかんないけど、手におえなさそう」「未来の車」…といった具合に、ある程度の印象をもつ人がいる一方で、「あまり知らない」「三角印?馴染みがない」「どこの国の車かな?」「フランスの車なのは知っていた」「たしか文字の上に点々が乗っていたっけ…」「外車… 高そう…」「名前を初めて聞いて検索しました」という回答もちらほらと見受けられた。

私の周囲には「車に詳しいパパ友」はたくさんいて、シトロエンの快適性を絶賛し、ファミリーカーとしての適性も認識している人が多いのは確固たる事実。それに対して「車に詳しくないママ友」たちからの上記回答はある意味とても新鮮なものだった。

ファミリーカーを選ぶときに、女性の意見がとても重要だというのは周知のことだ。男性諸氏が奥様にプレゼンテーションしている姿も想像するに難くない。では、家族思いの女性たちはファミリーカーを選ぶにあたっていったい何を判断材料にしているのだろうか。シトロエンは選択肢に入っているのだろうか?上記のヒアリング結果から類推すると、もしかするとシトロエンは選択肢にすら入っていない可能性もあるかもしれない。そう思うと、私としては「もったいない」という感想が先にたってしまう。

人気2モデルのファミリーカーとしての実力を7つのポイントから検証

そこで「車に詳しくないママ友」たちがファミリーカーに求めるもの、言い換えればそれぞれが考える快適性・心地よさについてもアンケートをし、コメントが多かった7項目についてシトロエンがその希望を満たすかどうか?をあらためて検証してみた。実際に乗ってみたのは、多目的に使えるベルランゴ(ベースグレードのFEEL)と、快適性が人気のC5エアクロスSUV(ガソリンモデル)の2モデル。パパの皆さんにとっても、家族の「心地よさ」を満たすファミリーカー選びの参考になれば幸いである。

ベルランゴ(ベースグレードのFEEL)

C5エアクロスSUV(ガソリンモデル)

検証1:荷室容量と乗車定員
サーフィンやキャンプ、トレッキング、スキーなど、家族の人数分の遊び道具をたくさん積みたい。犬も一緒に出かけたい。そんな要望がダントツで一番多く寄せられた。

荷物がたくさん載るか。シートアレンジは
ベルランゴの荷室は5人乗車時で約597L、シートをアレンジすれば最大2126Lの大容量だ。今回、参考までに45×76×22cmのスーツケースを持参して載せてみたところ、リアシートをたたまない状態でご覧のように余裕たっぷり。助手席まで倒せば約2.7mの長尺物も入れられるので、サーフボード、キャンプ用品、自転車など趣味に合ったものを容量を気にせず好きなだけ積むことができる。

C5エアクロスSUVは通常のシート位置で580L、リアシートをいちばん前までスライドさせれば670L、さらにリアシートをすべてたためば1630Lもの荷室スペースが出現する。ハンズフリーの電動テールゲートは、荷物で手がふさがっているときでも足を動かせばゲートが開くためとても便利だ。

荷物の出し入れがしやすいか
ベビーカーや車椅子など、それぞれのライフステージによって日常的に積み込むものは様々だ。ベルランゴの荷室開口部は広く低いため、荷物の出し入れがしやすく好印象。

対してC5エアクロスSUVはやや腰高で、スーツケースなどを入れる際には「よいしょ」と持ち上げる必要がある。重い荷物でなければ、かがむ必要がないと考えればこのぐらいの高さのほうが好ましいと思う人もいるだろう。

テールゲートを全開にするのは場所を取りそうで…
ベルランゴには後ろのガラス部分だけを開けられるリアオープニングガラスハッチが装備されている。テールゲートを開けずにラゲッジスペースにアクセスできるため、ちょっと荷物を出し入れしたいときに便利だ。

車中泊したい
長距離の帰省時に途中のサービスエリアで仮眠をとりたい、キャンプの時にはテントもいいけど車中でも寝てみたい。そんな希望もベルランゴなら前述の通り、助手席を倒せば2.7mのスペースが確保できるため、男性でも足を伸ばして寝ることができる。

後席もリクライニングできるといいな
C5エアクロスSUVの後席は3つのシートが独立していて、それぞれにリクライニング機能が付いている。道中、子どもが寝てしまったときに少し倒してあげることができるのは、ママにとってはありがたい機能だ。

ベルランゴはグレードにより後席の仕様が異なる。今回試乗したベースグレード「FEEL」の後席は2:1の分割式、ひとつ上の中核グレード「SHINE」はC5エアクロスSUV同様の3座独立式だが、背もたれの角度は固定式となっている。

いざというとき7人乗れる?
ベルランゴ、C5エアクロスSUVともに乗車定員は5名。残念ながら両モデルともこの要望には応えられていない。

しかし興味深い話もある。最近ベルランゴが話題になりショールームを訪れたカスタマーの中で、当初のお目当てではなかったはずの既存モデル、グランドC4スペースツアラーを購入する人が増えているのだそうだ。こちらは7人乗り(ただしスライドドアではない)。同じカテゴリーの車両のようでありながら、それぞれの個性が立っていることで、競合もしないのだという。

あらためて注目が集まっているという7人乗りのグランドC4スペースツアラー。

グランドC4スペースツアラーの3列目シート。

検証2:スライドドアか否か
続いては、スライドドアの要望。たしかに小さな子どもがいると、駐車場で隣の車に傷をつけないか、ドアの開け閉めにはヒヤヒヤする瞬間がある。

ベルランゴにはスライドドアが装備されている。手動である点と、コツをつかむまでは閉める際に重く感じる点が少々残念。「この重さ、本国フランスのママたちは、どれだけ力持ちなの?」と一瞬驚いたのは事実だが、コツをつかめば大丈夫。

サイズ、デザイン、乗り心地etc. 女性目線で気になるポイントはたくさん

検証3:車両サイズと取り回し
あまりにも大きすぎると街中では乗りづらい。ハンドルは軽く、小回りが利く車が希望という声も多かった。

両モデルのサイズは以下のとおり。
●ベルランゴ:全長4405mm×全幅1850mm×全高1850mm
●C5エアクロスSUV:全長4500mm×全幅1850mm×全高1710mm

5ナンバーの「全長4700mm以下、全幅1700mm以下」をひとつの基準とすれば「5ナンバーの最大サイズより全長は短め、幅は少し広め」となる。最小回転半径は両モデルとも5.6m、印象としては「3ナンバーサイズの国産ミニバンとほぼ同様、5ナンバーサイズのミニバンより少し大きめ」といったところだ。着座位置が高く視界が広いため街中での運転もさほど苦にはならない。

ハンドルの軽さについては個人の感覚によるものも大きいが、C5エアクロスSUVに3日間乗ったあと、我が家のドイツ車のステーションワゴンに戻った瞬間「うちの車のハンドルってこんなに重かったっけ?」と感じたのは事実。

 

検証4:安全・快適装備
安全技術や運転を快適にする装備の充実を求めるコメントも多かった。家族の安全を守り快適に運転するための装備は必要不可欠。アクティブセーフティブレーキ(被害軽減ブレーキ)、ディスタンスアラート、アクティブクルーズコントロール、レーンキープアシスト、ブラインドスポットモニターといった先進技術も備えられているので安心して運転することができる。

検証5:長距離移動と乗り心地
あちこちへアクティブに遊びに行くとき、実家へ帰省するとき… 家族で車を利用するときには長距離移動が伴う。その際に乗っていて疲れないという「乗り心地のよさ」も重要なポイントだ。

機構的な細かい説明は省略するが、C5エアクロスSUV(今回試乗したのはガソリンモデル)はまさに「魔法の絨毯」の乗り心地。「プログレッシブ・ハイドローリック・クッション」が路面の細かな凹凸を吸収して非常になめらか、言葉で表すと「スルスル滑るように走る」といえばいいだろうか。大きめの段差も突き上げることはなく、ふんわりと受け止めてくれる。ベルランゴも然りで、とてもしなやかな乗り心地。実際に今回、家族でも乗車してみたが、あまりの快適さに息子は途中で深い眠りへと誘われていった。むしろ「快適すぎて同乗者は皆、寝てしまうのではないか?」と心配になるほどだ。「家族の思い出は、車中での快適な睡眠」なんていうことも大いにあり得る。…それもまたシトロエンの「心地よさ」の象徴ということにしておこう。

検証6:燃費
意外なことに回答が分かれたのがこの項目。「燃費の良さを一番重視」「燃費は良いに越したことはない」「あまり考えていない」「よくわからない」「気にしているのはパパ」と、考え方は人それぞれだった。

ベルランゴのカタログ燃費は市街地モードで14.6km/L、高速道路モードで20.1km/L。C5エアクロスSUV(1.6L PureTech ガソリンターボ EAT8)は市街地モードで10.8km/L、高速道路モードで15.5km/L。ガソリンとディーゼルを比べるのもナンセンスかもしれないが、こと燃費だけに関していえば、ベルランゴに軍配があがる。

検証7:デザイン
ここは女性が譲れないポイントNo.1と言っても間違いないだろう。「ファミリーカーといえども素敵でオシャレ、スタイリッシュなデザイン重視」「やっぱり見た目は重要」「内装も大事(どこかにトキメキポイントが欲しい)」「ルーフとボディの色を好きに選べるといいな」など、デザインに関して女性の目は厳しい。

ベルランゴのシートは飽きのこないシンプルシックな色合い。リビングにいるような落ち着きを感じる。

ベルランゴのSHINEグレードに装備されるモジュトップ。ガラスルーフの解放感を感じられるばかりか、収納としても機能する。子どもにとってもワクワクのポイントだ。

試乗車のC5エアクロスSUVにはフロントバンパー、エアバンプ、ルーフレールにアクセントの赤が映えていた。このような小粋な演出はシトロエンが得意とするところ。

すべての要望を満たさなくてもシトロエンが選択肢に加わればきっと楽しくなる!

寄せられたコメントにも「家族を思う気持ちが形や定員などのこだわりにつながる」とあったように、それぞれの家族が車に求める機能や装備は家族の数だけ無限にある。すべての人の希望をあまねく満たす最大公約数的な車は世の中に存在しないからこそ、自分そして家族にとっての「心地よさ」を叶える愛車に巡り合うことができたら何より幸せなことだと思う。そういった意味で、シトロエンのことを食わず嫌い、…いや、それ以前の、存在自体をよく知らない段階にある女性たちにも、選択肢のひとつとしてシトロエンが加わるようになると、車選びのバリエーションも増えて楽しくなるのではないかと個人的に思っている。

実はアンケートのコメントで私がいちばん共感したのは「自分の好きな車に乗りたい!私が好きな車がファミリーカー」というものだ。「この車でお出かけができる、お迎えに行ける、という喜び・楽しみは大事」というコメントにも大いに納得。シトロエンに限らず、世のママン(今回検証するきっかけを与えてくれたシトロエンに敬意を表して、ここはあえてフランス語で!)たちがそれぞれトキメキを感じられる車に巡り合えたら、きっと車と家族のライフスタイルは今以上に彩り豊かで幸せなものになるに違いない。

この記事は
www.octane.jp