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フランスの風

シトロエンのある景色を旅しよう

洗練されたパリの風景をはじめ、美しく雄大な田園都市、風光明媚な港町など、
フランス各地の「今」を季節感あふれる写真で旅しませんか?
歩く目線で、車の視線で、フランスの風をお届けします。
町の暮らしにとけこむシトロエンの姿もお楽しみに。


ノルマンディー
ノルマンディー

まずは海を眺めながらドライブを楽しみましょう。一年を通して湿度が高いため、海の側ながら冬も比較的温暖で、とても過ごしやすいのが特徴です。

ノルマンディー
ノルマンディー
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パリから車で約2時間半のこのエリア。鉄道ではパリのサン・ラザール駅から直通で2時間45分でDeauville-Trouville (ドーヴィル・トゥルーヴィル) という、今回巡るふたつの港町の名がついた駅で下車します。公共交通機関が少ないので、車での移動がおすすめです。駅の名前にあるそれぞれの街は川を挟んで、向かい合っています。

トゥルーヴィルは長い間漁村でした。ナポレオン3世の異母兄弟であるモルニー公がその対岸にドーヴィルというリゾートを建設するまで、この海岸は人気がなかったそうです。
1863年にパリから鉄道が開通したことをきっかけに、広い砂浜があること、気候が温暖であることなどが見直され人気のエリアとなったようです。モネやドガなど数々の画家が絵を描いた場所でもあります。

ノルマンディー
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19世紀には新聞がトゥルーヴィルの海岸を「フランスで最も美しい砂浜」と評したこともあります。海沿いにはホテルやヴィラ、カフェが立ち並び、海の幸を満喫することができるのも魅力です。
魚市場では、新鮮な魚介類を楽しむこともできます。そんな庶民的なところも、トゥルーヴィルの魅力のひとつかもしれません。

ノルマンディー Marché aux Poissons (魚市場)
152 Bd Fernand Moureaux, 14360 Trouville-sur-Mer

ノルマンディー
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魚市場の前には魚介料理を提供するレストランが立ち並んでいます。小腹が空いたらLa moulerie by cathで昼食はいかがでしょう。
この日のおすすめはホタテのグリルクリームソース。前菜にはスープドポアソン(魚のスープ)、魚のパテもおいしそう。港町に来たなら、ぜひ魚介料理を楽しんでください。

ノルマンディー La Moulerie by Cath
76 Bd Fernand Moureaux, 14360 Trouville-sur-Mer

ノルマンディー
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フランスで有名なポスター画家であるレイモン・サヴィニャックもまた、このトゥルーヴィルに魅了された一人です。
12歳の時に初めて家族とトゥルーヴィルの海を見たそうです。結婚したあともたびたび訪れ、ついに72歳の時にトゥルーヴィルへ引っ越します。そこから亡くなるまでの22年間をこの街で過ごしました。
展覧会なども行われ、トゥルーヴィル市のロゴマークも手掛けました。トゥルーヴィルではあちこちで、今も彼の作品を目にすることができます。観光案内所で彼の作品をめぐる散歩コースのマップをもらい、それを片手に散策するのもおすすめです。

ノルマンディー
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ドーヴィルはカジノ、競馬場、有名ブティック、5つ星ホテルなどがあり高級リゾート地として有名です。モルニー公が馬好きだったこともあり、現在もドーヴィルにはふたつの競馬場があります。
リゾート地として開発が始まった当時、高級ブティックも次々とできました。エルメスやルイ・ヴィトンは、ノルマンディ特有の木造建築で建てられており、見どころのひとつ。一味違った雰囲気を楽しめます。そして、シャネルの二号店目ができたのも、このドーヴィルです。ガブリエル・シャネルはこの街へ移り住み、カジノのすぐそばの通りにブティックをオープンさせました。ここで彼女は、休暇を過ごす上流階級の人たちにぴったりの帽子のデザインを始めました。

ノルマンディー

ドーヴィルにある多くのヴィラには、屋根の上にエピ・ド・フェタージュ(Épi de faîtage)と呼ばれる飾りがついています。これはもともと雨水などが入らないようにするためのものだったそうですが、のちに装飾的な側面を持つようになりました。木材やセラミック、鉄製など素材はさまざまで、遠くからでも見つけられる目印となっています。
当初は風の抵抗を減らすために丸い形が多く用いられていましたが、次第に花や鳥や馬などの動物、仮面などがモチーフとなりました。現在は、限られたアトリエでしか制作されておらず、少しずつ伝統が失われつつあるようです。街歩きをしながら、ぜひ上を見上げて個性ある装飾を楽しんでください。

ノルマンディー
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ドーヴィルの海岸を世界的に有名にしたのは、クロード・ルルーシュ監督のフランス映画『男と女』かもしれません。美しい砂浜と眩しい太陽の日差しに世界中の人が虜になりました。
映画の中に出てくる全長650メートルにも及ぶ板張りの遊歩道は、レ・プランシュと呼ばれ、日差しのある日などは多くの人々で賑わいます。レ・プランシュには、キャビンと呼ばれる連なった小屋があり、海へ来た人たちが物を置いたり中で着替えたり控え室として使ったりします。昔はお金持ちの人たちが代々所有していたそうですが、現在はドーヴィル市の所有となっています。とても人気で、使用するには数年待つこともあるそうです。各キャビンには仕切りがあり、そこにはアメリカ映画祭で訪れた有名人たちの名が連ねられています。
※1975年からドーヴィルではアメリカ映画祭が開催されており、今年9月には48回目を迎えます。

ノルマンディー

海辺の街はいかがだったでしょうか?心地いい風を少しでもお届けできたら嬉しいです。
シトロエンとの車の旅はこの先も続きます。また次の旅でお会いしましょう。

文:Chisa Mizushima
撮影:KOS-CREA