フランスの風

今回はブルゴーニュ地方にあるボーヌ Beauneを旅します。ワインの産地として有名なブルゴーニュ地方のボーヌへは、パリから車で３時間ほど。電車の場合はTGVでディジョンまで行き、そこから乗り換えます。

城壁に囲まれたこの小さな可愛らしい街の旧市街は、街の至る所で中世の面影を感じることができます。昔の生活に想いを巡らしながら、石畳を歩くのも楽しそう。
小さな街の中に、たくさんのカーブがあるのもこの街の特徴です。
毎週土曜日に開催されるマルシェは、地元の人や観光客で大賑わい。星付きレストランもあるほど食文化も豊かで、世界中から美食家がワインや料理を楽しむために集まります。

街の中心部からすぐ、石畳の通りに面した隠れ家的ホテル、アベイ・デ・マジエール（Abbaye des Mazieres）。ここは12世紀の修道院が改装され、現在は四つ星ホテルとなっています。中世の扉をくぐると、エントランスではきらびやかなステンドグラスが迎えてくれます。ホテルのフロントがある一階フロアは、バーラウンジになっており宿泊予定がなくても、誰でも利用可能です。
石壁に囲まれた半地下のフロアは、日常を忘れ私たちを中世へ連れて行ってくれます。また、ホテルのカーブでは、ブルゴーニュ地方の素晴らしいワインの数々に出会えます。

Abbaye des Mazieres
19 Rue Maizières, 21200 Beaune

街の中心に位置するノートルダム大聖堂は、ブルゴーニュ地方の後期ロマネスク様式を代表する建物のひとつで、11世紀後半に建てられました。乳白色の建物は近くで見ると息をのむほどの美しさです。建物の内部には中世から残るタペストリーと巨大オルガンがあり、必見です。

街歩きでお腹が空いたら、ビストロ Biz’tro “Chic & Gourmand”で郷土料理を。天気が良ければ、レストランの目の前に広がるテラス席もおすすめです。
ブルゴーニュ地方は世界的に有名なワインの産地のほか、美食の地域とも言われています。前菜には、たっぷりの赤ワインのソースにポーチドエッグを落として食べる郷土料理のウフ・オン・ムーレット（oeuf en meurette）を。メインにはぜひブッフ・ブルギニヨン（boeuf bourguignon）を選んでみては。ブルゴーニュ産の赤ワインで牛肉を煮込んだもので、この地方を代表する料理のひとつです。

Biz’tro “Chic & Gourmand”
4 Pl. Madeleine, 21200 Beaune

オスピス・ド・ボーヌ（Hospices de Beaune）は、1443年にできたボーヌ市民のための医療施設です。100年戦争のあと、街にある病院も財源不足で機能しておらず、ボーヌの街は病人が多い状態でした。ケガをした市民を受け入れるために当時財務長官であったニコラ・ロランと妻のギゴン・ド・サランによる貧しい人々のための慈善病院として始まりました。８年に渡る工事の末、完成したオスピス・ド・ボーヌはこの鮮やかなモザイク模様の色瓦が特徴です。ブルゴーニュ地方では珍しいもので、現在のこの瓦は修復された20世紀のものです。15世紀当時はもっと繊細な瓦だったと言われ、鮮やかな瓦屋根は街のどこからでも見ることができました。
ここでは修道女が働いており、当時は常に80〜100人もの患者がいたそうです。医療施設として1955年まで使われていました。
ユネスコ世界遺産に認定され、今日では医学博物館として観光客で賑わう一方、約155年前から毎年ここではワインのオークションが行われています。国際的にも有名なオークションで、売上はこの施設の設備向上など慈善事業に使われてきました。

Musée de l’Hôtel-Dieu – Hospices de Beaune
2 Rue de l’Hôtel Dieu, 21200 Beaune
musee.hospices-de-beaune.com

ブルゴーニュ地方は、素晴らしいワインが造れている世界で最も有名なワイン産地のひとつです。北から南に向かい５つの地域に分割されておりボーヌはその真ん中で、かの有名な「ロマネ・コンティ」の畑もすぐ近くにあります。
また、ボーヌの街からすぐそばのコート・ド・ボーヌ（Côte de Beaune）と呼ばれる地域は、「モンラッシェ」など白ワインで有名なドメーヌがいくつもあります。車で有名なドメーヌへ足を運んだり、美しく広がる数々の有名なワイン畑を眺めたりするのも人気です。