フランスの風

リールは、パリから車で２時間半ほど。交通の便に恵まれているこの街は、北の玄関口と呼ばれています。TGV(高速鉄道)ならパリから約一時間、国際空港もありビジネスや観光都市としても発展しています。また、英仏海峡トンネルを結ぶ国際列車であるユーロスターも利用できるため、ベルギーのブリュッセルやイギリスのロンドンへも非常にアクセスのよい街です。

リールは、中世からフランス革命に至るまで、フランス王国、ブルゴーニュ王国、ローマ帝国などいくつもの国を経てフランスの帰属となりました。そのため、色々な都市や文化の影響を受けた建物が混在しています。

中世から繊維や機械工業を中心とした商人の街として栄え、その後90年代の少し前にできた新ビジネス街によって、フランスで三番目のビジネス都市へと成長します。また、パリ、リヨンに次ぐ有名な学生街であり、フランスの大統領であったシャルル・ド・ゴールが生まれた街でもあります。

石畳の美しい通りRue de la Monnaie（モネ通り）は、市内で最も古い通りのひとつです。その通りで一際目立つ古いレンガ造りの建物がホスピスコンテスミュージアムです。ジャンヌ・ド・フランドル伯爵夫人によって建てられた病院で、現在は美術館になっています。ここでは患者用病棟、修道女の共同棟、礼拝堂など15世紀から18世紀にかけてのリールの建築を一度に見ることができます。他にも、キッチンや食堂の家具、食器類など、リールの歴史と生活に触れることができす。

お腹が空いたら、Estaminet La Vieille Franceでお食事を。落ち着いた雰囲気の店内は、食事の時間になると観光客や地元の人で賑わいます。
カルボナード（牛肉のビール煮込み）、ボーンマロー(牛の骨髄）、クロケットドマロワル（マロワルチーズのコロッケ）にムール貝でカンパイ！

Estaminet La Vieille France
51 Rue de Gand, 59000 Lille

中央にある広場Grand’Placeは、観光客だけでなく地元の人たちでも賑わいます。ここから北へ進むと、先ほどの古い石畳のエリア・旧市街。レストランや商店が連なり、一日中活気で溢れています。中心にある高さ15メートルの女神の柱は、1792年のオーストリアによるリール包囲戦の勝利を記念して作られました。
広場の目の前には、17世紀に建てられたルネサンス様式の豪華絢爛な旧証券取引場Vieille Bourse de Lilleがそびえ立ちます。
その裏手側にはOpéra de Lill、リール歌劇場があります。一度は火事によって消失してしまった劇場を修復し、第一次世界大戦を経て1923年に正式オープン。その後改修のためしばらく閉館し、2003年に再オープンを果たした歴史的建造物です。

Porte de Paris 通称パリ門は、フランスが戦いの末スペインからリールを奪い、その勝利を記念して17世紀ルイ14世時代に建てられた凱旋門です。
その横にあるリール市庁舎の鐘楼は、ヨーロッパにおいて最も高い民間の鐘楼と言われています。重厚な作りの市庁舎に比べ、鐘楼はほっそりとしたデザイン。赤レンガとコンクリートでできています。

Maison Coilliot コワイヨー邸は、フランスのアール・ヌーヴォーを代表する建築家エクトール・ギマールによって設計された邸宅です。ギマールは、パリのメトロ駅入口のデザインでも有名で、この建物も歴史的建造物に指定されています。

リールには歴史的な建物だけではなく、個性的な現代建築も多くあります。1994年に開業したリール・ユーロップ駅の駅舎は、フランスの建築家ジャン＝マリー・デュティヨールによるもの。屋根は波のような形をしており、駅構内で火災が発生したら防火壁の役割も果たします。
駅前にある高さ7mのポップなチューリップのブーケは、草間彌生氏の作品。2004年に行われたリール市主導の文化プロジェクト以来、リールのシンボルのひとつとなっています。

お土産はゴーフル菓子の老舗Méert(メール)で。一番人気はバニラビーンズをたっぷり含んだクリームをしっとりとしたゴーフル生地で挟んだシンプルなお菓子。リールにあるこの本店は創業250年以上も続く老舗です。美しい箱に入ったゴーフルは、シャルル・ド・ゴール元大統領のお気に入りのスイーツだったことでも知られています。

Pâtisserie Méert
25-27 Rue Esquermoise, 59000 Lille